メトロ☆レンジャー

第12話 その2
「女性陣の反撃」


:RAK(マルノウチレッド)
:隼鷹(ユウラクイエロー)
:とわいせるな(トーザイブルー)
:しおん(チヨダグリーン)

薄グレー:ドン・あさみ

:NAL
グレー怪人べるず

(白:ナレーション他)


<前回までのあらすじ>
遂に最終ボスとの対戦が始まった!
必死に戦うも、その圧倒的な力に押されるメトロレンジャー達。

一方、NALは元・怪人べるずと共に一行の元へ向かう…

ドンの放った巨大な炎が、闘技場に広がる!

「うわぁーっ!!」

「あ、あちちちちちち!!!」

火災蒸し焼き地獄!消しズミになるがいい!!」



「お、おかしいわ!私達の服は火災に耐えられるように作ってあるはず…」



遠くにいるせるなの声も、ドンには届いているようだ。

「それは、お前たちが想定しているレベルの火災であろう…
 私が、その程度のものを扱うとでも思っているのか!!」




「そ、そうだ…炎や煙は上に行くから、下なら…!」

しおんはしゃがんだが、床の異変に気がついた!

「こ…これは…まさか…マグマ??!」

それは、ドンの方向から、マグマのような熱い流体が流れてくる!

「ふふ、上も下も地獄、このまま焼け死ぬが良い!」

「や、やべぇよリーダー まともな床がだんだん狭くなってきた!!」



その頃、柱の影にしがみついていたせるなは…

「おかしい…本物のマグマなら、床や柱だって壊れるはずなのに…」

せるなは閃いた。

「(きっと、この柱や床が、安全地帯なんだ…!)」

柱をよじ登ってみると、その上には何もなかったが確かに炎は回避できた。
ドンに悟られないよう、無線で4人へのコンタクトを試みる。

「(みんな!!柱によじ登って!!!)」



「お、おい隼鷹 聞こえたか、今の声」

「へぃ、バッチリです 確かにあの上なら…」

「よし、行くぞ!」

「せーのっ!!」



2人は一番近い柱まで猛然とダッシュして一気に駆け上がった!

柱の上は円形上になっていたので足場にはなった。

「なんとか火からは、逃れることが出来たぜ」

「煙を吸わないように気をつけろ!」


しかししおんだけは姿が見当たらない…


炎の中心にいるドンは2人を見逃さなかった。

「ほう、上手く考えたな だが柱を破壊すれば逃げ場はないぞ…」

錫杖を振りかざそうとした、その瞬間!!







































「!!」

なんと、ドンの頭上に、両手でしおんが逆立ち状態になっている!

「くらえーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

そして間髪入れず、勢いよくドンの顔面に蹴りを叩き込んだ!
一瞬の隙をつかれたドンがまともにしおんの右足を食らい、その場に片膝をついた。
その瞬間、レンジャーたちを悩ませていた炎が一瞬にして消えた。

「す、すげぇ…!いつの間に…?!」

「あの炎や煙をカモフラージュにして、うまく接近をしていたとは!」



「くっ…私の頭上を安全地帯とするとは…考えたな」

「頭じゃないわよ、残念だったねっ」

柱の上から2人が降りてきた。
安全になったところで、せるなも駆け寄ってきた。

「しおん、お手柄だぞ!」

「すげーよ、どうやって接近を?」

「それは…」




 「あああああ、熱い熱いっ!!!」

 熱さに耐えながらも、しおんはドンの様子をじっと見ていた。
 その時にあることに気がついた。

 「…?このマグマ、ドンの足元から流れてくるように見える…
  地面から噴き出しているものではないの…?」


 しおんは閃いた。

 「もし…私の考えが正解なら、この方法で近づけると思う!」

 しおんは背中の羽根を、なんとドリルに変形させて腕に装着した。

 「メトロ・ドリル!」

 地面のタイルを破壊するも、残骸が吹き飛ばされて、さらに煙で隠れた!
 ドリルで下方向にどんどん掘り進むと、やがて熱風や炎から逃れることが出来た。

 「やっぱり、あのマグマは、ドンの足から発生していたのね!」

 さらに掘り進んで、地上の様子がうかがえる所でいったん止まった。

 「かなり深くまで来たわ。ここからあいつの方向に急上昇すれば・・・!
  行くぞーーーーーー!!それーーーーーーーっ!!」


 今度は、来た方向とは向きを変えて勢いよく掘り進み始めた!





「そんな方法で!」

「さすが、最深部を走る千代田線担当だけある!」

「あるものは、何でも使わないと、勝てませんからねっ」

2人がしおんを称え合う。


それを見たドンは、初めて片膝をつかされたにも関わらず、笑みを浮かべる…

「どうも、小賢しい術は私の好みには合わんな」


ドンは、今度は錫杖を槍を持つかのように構えた。


「来な」


今度は打って変わって、ドンは動かなくなった。
その恐ろしい目でRAK達を睨みつける…。


「今度は、武器戦…なのか?」

「全く、隙がない…!」


RAKもブレードを持って構え、隼鷹・しおんもいつでも飛びかかれる態勢を取る。
せるなは一歩下がって後方支援をする準備をしつつ、ロッドを構える。


両者とも、動けない…
ドンも身構えたまま、動こうとはしない…


「(おい…このままではラチがあかん 全員で一気に行くぞ!)」

「(わかりました!じゃあ、合図を・・・)」

「(よーし・・・)」



動かなかったドンが、一瞬まばたきするのをRAK見逃さなかった。

「(今だ!)」

3人が猛烈な勢いでドンに飛びかかる!

「メトロ・快速ー!!」

後ろからのせるなの支援で、より速い速度で接近する。

しかしドンは、RAKのブレード攻撃を錫杖で受け止め、返す刀で隼鷹としおんを撃墜!
その錫杖を引っ込めて、今度は柄をRAKに向けられるも、かろうじてかわして後退した。

「ちくしょう、なんて素早い反応なんだ!」

「ならば…今度はこれはどうだ!」




 その頃、NALと元・怪人べるずは…

 メトロレンジャー達がくぐった出入り口とは違う方向へ歩いていた。

 「ここが、ドンの間へ行くための近道だ 普段は、使うことも許されておらぬ」

 「そうなのか…」

 「教えてくれ、ドンに彼らが勝てない理由とやらを」

 「それは、ドンの左袖のことだ」

 「左袖?あの普段隠している?」

 「おそらく長期戦になるか、彼らが戦いの途中でそれをあらわにしてしまうかもしれん」

 「そうなってしまうと、とても勝ち目は…」

 「しかし、左腕自体なら前にも…」

 べるずが首を振る。

 「違うのだ、本当の左腕のパワーは、奥の手なのだ」

 「私との戦いでも、本気を出していない、と言うことか」

 「おそらく。それを開放する前に、ケリをつけられるかどうか…」

 NALの脳裏に不安がよぎる…

 「早く向かわなければ…な…」



「うわーっ!」

幾度となくパターンを変えて挑むものの、ドンにかすることもできなくなっていた。

「あの態勢をドンが取ってから、こちらの攻撃が全く通じないわ!」



ひとり後ろに回っているせるなは、ある事に気がついた。

「ん…そういえばさっきからドンが動かないような…?そういえば…」


「よーし、今度こそ」

「待って!」

せるなが、3人の突撃を止めさせる。


「何故止める?」

「アイツがあの態勢を取っている限り、コッチには何もしてこないんですよ!」

「何?!」

「そ、そういえば…」

言われてみれば、ドンが錫杖を向けた時から、ドンは一歩もその場を動いていない。
そして、ドンから攻撃を仕掛けてはいないことに、外から見ていたせるなが気がついたのだ。

「あれは…そういう技なのよ!」

「…」

「きっと…あれは相手の攻撃を受け流す、受け身のような反撃の態勢…」

「そうか、オレ達の勢いをうまく使って、それに乗じたってことか!」



ドンはニヤリと笑う。
「さすが、参謀役として…いや、元・諜報員の血が騒ぐのか…よく見破ったな」

「だが、どうする 私がこの姿勢を取っている限り、お前たちに何の攻撃手段がある」

「そ、そうだよ アイツがあの姿勢を崩さない限り…」

「崩す方法は、ないわけじゃないわ」

「えっ?!」

「(あのね…)」



ドンは余裕なのか、ヒソヒソ話しすら耳を貸そうとしない。
「何の作戦を立てようとも、無駄だというに」


そして作戦が決まった。
なんと、ドンに対面したのは、せるな一人!
他の3人は横方向へ離れ、先ほどとは全く逆のフォーメーションであった。

「…? 何をたくらんでいる?メトロレンジャー…」

「…」

無言のまま、せるなが一人でドンに向かって歩いて行く。



「ほう、まったく真逆の作戦か だが、今度はこちらから仕掛けることだってできるわけだ」

ドンが錫杖を振りかざし、せるな目がけて猛烈な勢いで迫る!!!

だが、せるなは動かず…そして、なぜか笑みを浮かべる。

その瞬間!









































「!!き、貴様は!!」

せるなに襲いかかるドンを後ろからはがい締めにしている、オレンジの影!
一瞬動きの止まったドンに脇の3人が一斉に襲い掛かる!
隼鷹としおんが左右からとび蹴りをドンの脇腹に食らわせた!
同時にRAKがブレードで斬りかかり、ドンの左袖を斬りつけた!

「おのれぇぇぇっ!!何者っ!!」
3人が素早く離れ、せるなを守るように元の体制に戻る。

やがてドンをはがい締めにしていたオレンジの影が、メトロレンジャーの方向に向かって行く。

「?!」

影がやがて具現化していく。その姿が…!

「(どう?こんなもん?)」

「OK!さぁ、戻って!」

オレンジの影は、せるなから分離した、まりむだった!!

「チェンジできるのは、姿ごとだけではなかったのか!」

「確かに、姿は変わってないよ でも、魂だけだとしたら?」

「まりむの意識だけを、具現化したとでも言うのか!!」

「ピンチの時、どんな時でも助けてくれると、まりむは言ったの。
 それが、どんな形であれ、ね」


せるなはその時のことを回想する…




 「(せるな!ここは私に任せて!)」

 「(まりむ!あれでは誰も近づけないの!私とチェンジしたとしても…)」

 「(いや、チェンジなんかしなくてもいいの!私だけで行く!)」

 「(え?!そんなことができるの??!)」

 「(任せてよ!こっそり紛れ込んでみるから!)」

 「(じゃあ、タイミングを決めよう…)」

 「(せるなが笑ったら、それを合図にあたしがドンの動きを止める!それでいい?)」

 「(うまいこと、ドンに近づいて具現化してね)」

 「(そうだね、これちょっとの時間しかできそうにないから)」





「確かに、意識だけでは姿が見えない…」

「すげぇ!そんな手があったなんて」


女性陣の活躍でダメージをくらい、さらには左袖を切られたドン。
なかなか見られなかった左腕があらわになった。

「今ので、だいぶダメージを与えたんじゃないですかね」

「いや、アイツはあんなものでやられるようなことはないだろう」

「気を引き締めないと!」

「よーし、やるぜ!」



ドンの受け身に苦戦させられていたメトロレンジャーが、息を吹き返す。
だが、ただ一人不安に駆られるせるな。



「(何だろう…あの左腕…とっても危険な気がする…!!)」

1へ戻る3へ

inserted by FC2 system