メトロ☆レンジャー

第6話 前編
「13号線(仮)での死闘〜石原都知事のツケ」


:RAK(マルノウチレッド)
:隼鷹(ユウラクイエロー)
:とわいせるな
:しおん(チヨダ・グリーン)
グレー:怪人べるず
(白:ナレーション他)


営団改め、東京メトロ13号線…
東京に新たに走る、13本目の地下鉄路線は平成19年の開業を目指し工事中。
メトロレンジャー達は、許可を得てその工事現場の視察をしていた。

説明を行う工事担当者の後に、説明を受けながらついていく一行。
「今回の工事では、さまざまな環境対策がなされておりまして…」
「工事車両も、有害な排気ガスを低減するCNG車を採用し…」
「機械を動かす時には、あのように防音マットを使用します…」


感心しながら聞き入るRAKと隼鷹。
しおんは熱心にメモをとる。

だが…

「何で…東西線との接続が無いのよ…ブツブツ…」

朝から少々不機嫌な、せるな。
それもそのはず、これまで東京を走る地下鉄で唯一全路線と乗換え可能だったのが東西線だった。
しかし、この13号線は早稲田付近で交差はするものの、接続が無い。
これにより、ついに東西線も「全路線乗り換え」ができなくなってしまうのだ。
不機嫌になるのも無理はなかった。

「まぁそう言うなよ。決まったものは仕方ないじゃないか」
RAKがなだめる。

「だいたい埼京線と平行してるのに採算が取れるのかどうか…」

「おいおい^^;」

「13号線ができると、メトロ・東武・東急・西武の4社乗り入れが実現するのかしら」

「そう考えると楽しみだね」

「将来的には、羽田空港までの計画らしいがな」

「できたら便利になるねっ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


会話の弾む3人と、黙ったままの一人。


「それにしても東京の西側には、南北に走る路線が少ないな」

「環状8号線に地下鉄が走るといいんですけどね」

「リーダーさん、丸の内線は環状に出来ないの?」

「う〜ん、微妙だねェ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


そう言ってるうちに歩いている一行は、どんどん奥に進んでいく。


「ずいぶん暗いところまで来たな」

「あの、この辺では何の工事が進んでるんですか?」

職員の様子がおかしい…

「ここですか?ここはですね・・・」

「メトロレンジャーの・・・墓場でございます」

「??!」

「あぁっ!!」

「あなたは・・・怪人べるず!」

「ふはははは、まんまと騙されたな、メトロレンジャー!」

ヘルメットと作業服を脱ぎ捨て、中から現れたのは怪人べるず!

「おのれ、罠だったのか!」

「こんなところにまで現れるとは!しかも丁寧に変装までして!」

(せるなは機嫌が悪いのでツッコミしたくないようだ)

「みんな、ここは変身よっ!」

「おぉっ!」

(全員で)「チェンジ、メトロレンジャー!」



変身!・・・だが!

「??!、おいっ!ブルー!なぜ変身しないのだ?」

なんと、せるなだけがチェンジできなかった!

「あれれれれ???」

「まさか変身の仕方を忘れたのかよ!」

「そ、そんなはずは…」

「メトロレンジャーよ、忘れたのか!接続の無い路線同士では、オマエ達は変身できないことを!」

「何だと!」

「なんでお前がそんなこと知ってるんだ!」

「そんなもの、作者のご都合主義か何かじゃないのか」

「何てわかりやすいストーリー展開なの!w」

「そうか、それで13号線と接続予定の無い東西線のせるなが変身できないのか!仕方ない、ブルー…せるな、キミは作業員の皆さんを地上へ避難させてくれ!」

「ここは、俺達に任せろ!」

「うん…わかったわ」

変身の出来ないせるなはひとり引き返した。



「さぁ、べるずよ!今日こそ倒してやるぞ!」
3人はそれぞれ武器を構え、戦闘態勢を整える。

「今日は乗客のいる駅じゃない、思う存分戦えるぜ!」

「怪人べるず!戦う場所を間違えたみたいだね」


「本当にそう思ってるのか、メトロレンジャーよ」

なぜか余裕さえ見せる怪人べるず…


「これがもし、お前達を分断させる為だとしたら…?」


「…はっ!もしや貴様…!」

「まさか、怪人を別に?!」

「せるなちゃんが危ないかも!」

「もう手遅れだ!お前達3人は仲良く地の底に沈むがいい!いでよ、ゾンビ怪獣ゆめもぐら!」

盛り土の中から、白いモグラのモンスターが現れた!
目を光らせ、通常の電車よりも小さいくらいの怪物だ。

「ははは、ゾンビ怪獣ゆめもぐらよ、メトロレンジャーを食らい尽くすのだ!」
怪人べるずはそう言い残し、風と共に闇の中に消えた。


「あぁっ、待てっ…!」

「また、逃げられたか!」

「そんなことより、あの怪獣をやっつけないと!」

「そうだ、ヤツを倒さないとせるなの後を追えない」

グルルルルル…
VVVF音に近い唸り声…
直後、ゆめもぐらが牙を向いて突進してきた!


「は、速い! ぐわっ!!」
かわしきれず、レッドが肩を攻撃された!


「くっ!」

「リーダーさん大丈夫?!」

「あぁ、何とか大丈夫だ。しかし何という鋭い牙…」

「まるで何か、怨念を感じるよ」

すぐさま2度目の突進を、レッドを抱きかかえてグリーンがかわした。


「ゆめもぐら…ゆめもぐら…あっ!思い出したぞ!ゆめもぐらとは、都営環状線の愛称!」

「おぉ!あの石原都知事の一言で消えた幻の路線名!」

「それで、大江戸線になったんだよね」

「するとあれは、その都知事によって抹殺された、愛称の怨念なのか!」

「怪人べるずめ!そんなものにまで目をつけるなんて!」


ゆめもぐらが再び、3人に向かって突進してきた!


「来たぞ!」

「よし、3人違う方向にかわそう!」

突進を3人がそれぞれ別方向にジャンプして避けた…だが!
その瞬間、ゆめもぐらが分裂し、レッドとイエローの方向に軌道転換した!

「!!」
白い体とアルミ地肌の体が分裂し、レッドとイエローに体当たりした!


「2人ともしっかり!」

「おぉっ…抹殺されたとは言え最新車両…技の威力が違うぜ…」

「小回りの効く体だから、的確に俺達を追ってくる…」

「なんとか、あの動きを封じないと」

「う〜ん、どうすれば…」



「ん?待てよ確か大江戸線は、リニアモーターカー…あっ!」
イエローが何かひらめいた。

「(俺の考えが正しければ、きっと…)」

「イエローさん、何かアイディアがあるの?」

「(いつも俺がしっかりしてないから、とわさんに心配かけさせちゃうんだ…ここはひとつ俺がやらねば!)」



「来るぞ!」
ゆめもぐらが再び、突進してきた!


「リーダー!赤の貴公子だ!」

「?!なぜだ?」

「あのね…(小声)」

「…なるほど、よしわかったぞ!」



「チェンジ!赤の貴公子!」
レッドは丸の内線旧車両を召喚した。

「??それで突進するの?!死んじゃうよ!!」
2人はゆめもぐらから離れ、RAKが丸の内線旧車両を突進させた!



「突進するのではない、ヤツの周りを回るんだ!」

「??」



旧車両がゆめもぐらの周りを高速で回り始めた。
すると、途端にゆめもぐらの動きが鈍くなり、方向感覚を狂わせ始めた!




「ええっ??どうなってるの?」

「やっぱり思った通りだ!」

「ヤツはリニアモーター…すなわち磁力で動く怪物だ!」

「うん(メモメモ)」

「だから、磁気を荒らしてしまえば、やつは動けなくなる!

「でも、どうして丸の内線で磁気が?

「あの赤い電車に限らず、長年走ってきた鉄道車両には、磁場が発生しているんだ」

「それで、リーダーが貴公子を回してくれるおかげで、人工的な磁場が出来て、そこで磁気を狂わせてるんだ」

「やる〜ぅ」



ゆめもぐらはやみくもに攻撃しはじめたが、レッドに当たらない。

「そうはいくか!SF・使用済みメトロカード!

イエローは使用済みのありったけのメトロカードを投げ付けた。
鋭いカードがゆめもぐらの体に突き刺さり、動きを封じた!




「グリーン、今だ!」

「はいっ!」


しおんは時刻表を取りだし、魔法力を一気に高める。


「メトロ・リサイクルビーム!」

グリーンの時刻表から強力な光が放たれた!


VVVF音に近い雄叫びを上げ、ゆめもぐらがその場に果てた。
まばゆい光がそこから放たれ、中から都営12−000系が現れた。


「おぉ、リサイクル効果のおかげで、ゆめもぐらが大江戸線として生き返ったぞ!

「さすが、5000系で実証済みですね」

12−000系は、元の大江戸線に戻っていった。



「ここからなら、東新宿が近いな」

「よかったねっ」

「さぁ、早く地上へ行かないと!」

「おぉそうだ。急ごう!」



3人は変身を解き、地上にいるせるなの元に走っていった…

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