メトロ☆レンジャー

第7話 前編
「イエロー隼鷹の過去〜ブルーせるな退院事件」


:RAK
:隼鷹
:とわいせるな
:しおん
グレー:怪人べるず
(白:ナレーション他)


「・・・・・・ん・・・・・・?・・・・・・ここ・・・・・どこ・・・・・?」
せるなが目を開けた。

「病院だよ。気が付いて良かった!」

「私・・・・どうして・・・・?・・・あっ、思い出した・・・・」

「私確か・・・悪の首領に攻撃されて・・・・それから・・・・」

「そう、その後皆でここに運んだんだ。」

「そっか・・・・・・・・・・心配、かけちゃったね。ごめん・・・・」

「いや、あの状況でよく頑張ったよ!」

「え?頑張った、って・・・・?」

「それに引き換え助けに来た筈なのに何もできないなんて・・・」

「そんな…謝る事なんてないよ……私だって無我夢中だったんだから……」


隼鷹はこれまでのいきさつと、NAL司令の話を教えた。


「で、あの首領なんだけど…」

「うん」

「NAL司令と悪の首領が以前戦った事があったそうだ。」

「・・・えっ!NAL司令が!?知らなかったー・・・・初耳だ。」

「そしてヤツの目的もわかった」

「・・・目的・・・って?」

ゴム・シードだ。ヤツが残した種があちこちで芽をはやしている…」

「そんな・・・!」


「・・・隼鷹君?」
せるなは、何か隼鷹が言いたげな事を察した。

「実は、昔俺も見逃した事があるんだ…。」

「見逃した・・・・って・・・何を?」




「今まで皆には黙っていたけど、西武鉄道にいたことがあったんだ」

「え・・・・ええっ!?そんなの初耳だよ・・・・聞いたこと無かった」

NAL指令にしか言ってなかったからな。」

「そうだったんだ……どうりで私が知らなかったワケね。
……でも、ゴムシードと、西武鉄道に隼鷹君がいた事と……一体何の関係が?」


「君はまだ駆け出しの鉄だからわからないかもしれないけど、西武鉄道にも一つだけゴムタイヤの路線があるんだ」

「そうなの?」

「あの、その話、もう少し詳しく聞かせて……!!」

「当時新宿線担当だった自分が気が付いていれば、西武遊園地〜西武球場前まで直通運転ができたんだ。」

「うんうん」

「そうすれば、所沢を経由しなくても、新宿や国分寺から野球臨がを走らせる事ができたんだ。」
#野球臨…西武ドームでのプロ野球開催時に走る臨時列車のこと

「なるほど…」

(時刻表をめくっている)「あ、そうか!そういえば確かに直通できそうだよね。」

「ヤツの陰謀に気付いてさえいれば、ゴム・シードに気が付けば、加担しなかったのだが。」

「加担って…(汗」

「新交通システムという言葉に踊らされてしまったんだな…。」

「その所為で今も新宿線系統からの球場までのアクセスは悪いままだ。」

「……そうね。考えると確かにアクセスが悪いよね。」


窓の外を眺めながら語る隼鷹…



「このまま都市交通が混乱していくのを見過ごせない…そう思ったからメトロレンジャーに志願したんだ。

「そう……だったんだ。」

「あんな思いをするのは俺だけでもう充分だ。」



「あの時俺は死んだ様なもんだからな…。」

「・・・・・」

「……そんなこと……いわないでよ……隼鷹君。」

「・・・・・」


死人は涙なんか流さないって(苦笑)」

「そう…だな…俺としたことが。らしくないな。」

「……そうね。……窓から見える夕日がちょっと眩しい位……かな」


夕日の差し込む病室に、静かに風だけが響き渡った。




それから2ヶ月が過ぎた…。
この間、せるなの抜けた穴を新メンバー・チヨダグリーンでカバーしたメトロレンジャー。
今日は3人でせるなの退院を迎えに行く事にした。



「あれからもう2ヶ月も経つのか。早いもんだ」

「そうですね、嵐の様な二ヶ月でしたね(苦笑」

「全くだ。痴漢や喧嘩は後を立たないわ、最近は悪質狂暴なスリ軍団もいて相変わらず油断できない」

「そうですね。この間の連中と来たら…」

「そういうやつの撃退のために護身術習っててよかったよ〜。NAL指令に感謝です。まだまだ力不足かもしれないけど・・・」

「本当にしおんの加入は心強い。全く司令はいい人物をスカウトしたものだ。」

「RAKさんもそう思いますよね!」

「うむ。本当に助かっているよ。」

「ありがとう、みんな・・・素敵な仲間が出来てとても幸せです。」



病院に着いた一行。
待合室では既にせるなが退院の手続きを終えていた。

「おーい」

「あ、みんな!」

「せるなちゃん退院おめでと〜、むかえにきたよっ♪」

「みんなありがと〜☆……今回の件、みんなに心配かけちゃって、ほんとごめんなさい。」

「まぁ、気にするな!」

「病み上がりだから、まだ無理はさせられないな」

「いえ、もう大丈夫です!私やります!!

「とわさん、まだ無理だよ!」

「(しかし、この気迫!!病み上がりとは思えないけど・・・燃えるハート忘れちゃいけないね、あたしもこれくらいにならなきゃ)」



戦う戦わないの言い合いをしながら外に出る一行。そこへ…

「おっと、失礼!」

突然病院へ向かって駆け出してきた人に接触してしまった。


「あっ、すみません!」

「あ、何か落としましたよ!


しかしその人は気がついていないのか、そのまま行ってしまった。

「……行っちゃった。困ったな〜……」

「おっと、結構散らばっちゃったなぁ…」

「ずいぶん散らばってるなぁ・・・書類か何かか?」


ところが、その書類は…


「こ、これは!!!」
「な、なんだこりゃぁぁぁっ!!!」
2人が青ざめてその場にうずくまる。

「え!?あ、あれ、RAKさん!?隼鷹君!?どうしたの!!?」
せるなは1枚を拾い上げてみた。その書類は…


ゴムタイヤでグチャグチャにすり潰された遺体の写真!!
札幌市営地下鉄の事故現場の凄惨な写真だった!



「!!!!!こっ、これは……!!!あ……あの時の夢が……いやあああああああああっ!!!!」

「せるなちゃん!!みんなどうしたっていうの!?しっかりしなきゃだめぇぇぇぇ!!!」


うずくまる3人、事態が飲みこめないしおん。そこへ…


「ふふふ・・・どうかな私の退院祝いは?」


そこに現れたのは、またもや怪人べるずだった!


「姿をみせたわね!!怪人べるず!!」

「ほほぅ、さすがしおん。グロ系にも強いか…それに引き換えなんだこの3人は

「卑劣なまねを!!」

「これで邪魔されずに、勝負できそうだな、しおん…いや、チヨダ・グリーン!」

「くっ!!差しで勝負かっ!!」

「そうだ…最近安い労働力で使えるアジア系の怪人を使っていたのだが…スリも強盗も新加入のお前にことごとく退治されていたからな。そこで、まずお前から手を打つ事で、ドンからの許可も出たわけさ」

「あたしの力を、みくびらないことね!!ほえ面かくわよ!!」

「ここでは人目につく…おまえとの決戦の舞台は…ココだ!」

「?!こ、これは!!何をしたの怪人べるず!!…うわっ!」


べるずとしおんが風に包まれ、姿が消えた。



せるなが気がついた時には、既に遅かった!
「しおんちゃーん!!」



「……こらーーーーーっ!そこの2人!いつまでやられてるのよ!!」
振り返ると、まだ2人がうずくまっていた。

「だってグモはいつ見ても・・・うわぁ・・・」

「な…とわさんこれ見ても平気なのか…うぷっ」

「う……平気じゃないけど……この間生で見ちゃったから立ち直り早くなっちゃった(苦笑)」

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