メトロ☆レンジャー

第7話 後編
「チヨダ・グリーン、敗れる…」


:RAK
:隼鷹
:とわいせるな
:しおん(チヨダ・グリーン)
グレー:怪人べるず
(白:ナレーション他)


しおんが気がついた。辺り一面は暗闇だ。かすかに明かりが見える。

「…ん?ここは…?一体どこ?」

「お前は千代田線担当のクセにここがどこかもわからんのか」

「あたしまだ駆け出しの駆け出し 色々勉強中の身だし」

「(…こんなのにやられていたのか…情けない怪人どもめ)ここは代々木公園の地下だ!

「代々木公園地下?ここは〜っと、千代田線車庫があるわ!!」

「そうだ(疲れるヤツだな…)ここなら他のやつらに邪魔されずにお前と戦う事ができる」

「1対1であろうと1対2だろうと、負けはしないわ!!」

「チェーンジ!メトロレンジャー!」



「チヨダ・グリーン参上!」

「ふふ、そうこなくっちゃぁ面白くない。さぁ、どこからでもかかってくるがいい!グリーンよ!

「(なんかいつものべるずじゃない・・・戦えたの?この人・・嫌な予感が)」



その頃、病院の前にまだ3人がいた。

「……もう気分はよくなりました?お二方」

「何とか・・・すまん」

「それにしても怪人べるずは何処に行った!?」

「私にも全く……ああもう!しおんちゃんの身が心配だわ!」

「しおんだったら大丈夫だ!いつもフニャフニャしてるアイツ(=べるず)が勝てるわけが無い!」

「え、でも……なんか自信ありげだったように見えましたよ?」

「もしや、何か罠が…」

「うむ・・・何かありそうだ・・・」

「でも、どこに行ったのかわからないし……」

「司令に電話で聞いてみよう。もし変身しているのなら、居所は司令が把握できるはずだ!」


RAKが司令に連絡を取る…


「どうやら、明治神宮辺りに反応があるらしい」

「……明治神宮前駅!」

「駅からは若干ずれてるらしい・・・」

「すると車輛の留置線か!」

「えっと、そこは確か……代々木公園!」

「代々木公園の地下だな!多分そこだ!」

「おう!」

「ここでぐずぐずしてても時間が勿体無いわ!みんな行きましょう!!」

「よし、行くぞ!」




その頃…グリーンはべるずと互角の勝負を繰り広げていた!

「くっ…なかなかやるわね!」

「お前こそ…久々にいい汗かかせてもらってるわい」

「(このままだと、勝負かつかないな…ならば千代田線の弱点を突くか!)」


次の瞬間、べるずの姿が消えた!


「??!」

グリーンはべるずの姿を見失ってしまった。

「(??…どこに行ったの??)」

「ふふ…私はココだ!!」

「うわっ!!」


暗闇の死角から、攻撃を加える怪人べるず!
油断したグリーンはわき腹に重い一撃を食らってしまった!



「し、しまった…うぐっ」

「ふふ…千代田線は駅・車両ともに死角だらけだからな…6000系のドアしかり、シールドの駅しかり」

「お前がどんなに気を配ろうとカバーできるものでは無い」

「そ、それが何だって言うの!」

「ふふ…負けん気の強いのはブルーと変わらんな」



「くっ!!こうなったら奥義を出すしか方法はないということねっ!

背中から大きなウィングを発生させた!
中野工場で見せた、グリーンの必殺技!
「パンタグラフ装填!!ウイングシュート!!!」

#この2ヶ月間でパワーアップし、ひとりでも可能となった!

「彼方に吹き飛ばすんじゃない!今回はもっと強力化してフルパワーで壁に叩きつける!!

「面白い!やれるものなら、やってみな!」

「くらいなさい!!(?!なんだ?この余裕の表情は…)」
「(いや、こけおどしにすぎないわ!)」


「メトロ・パンタグラフ・ウィングシュート!!」



強力な風が収まった。
背中の羽でべるずを吹き飛ばし…てはいなかった!!
腕をクロスさせ、技を防ぎきっていた!!



「くっ!!フルパワーのウイングシュートが!!破られるとは・・・。」

「グリーン…確かにお前の技は一流だ。この私も今それを体感している」
「だが…お前の技には致命的な欠陥があったのだ!


「な、なんですって!」

「戦ってわかったが、お前の攻撃はまさに教科書のような理想の形態。」

「強化が欠点!!不覚だったわ!!でもあたしはあなたには負けない・・・負けられないのよ!!」

「お前の行動は、緊急時など、マニュアル以外に関しては経験不足!だから不意の一撃を簡単に食らう!」
「そして、それを自分の弱点として認識できていない!」


「なにっ、言わせておけば!!」

「…それよりもだ…一流の戦士というものは一度知った技に対して、必ず対策を強化してくるものだ!同じ技を2度も食らうか!

「2度あることは3度あると思ったのに・・・」



「あらん限りの技を出したようだが、私を倒すには至らなかったようだな…」

再びべるずが闇の中に姿を隠す!
「また消えた!今度はどこなの?!」

奥義を破られ、混錯状態のグリーン。

「・・・なに?影が下に!!避けられない!!」
なんとべるずは、グリーンの足元から現れた!

足をすくわれ、バランスを崩すグリーン!
そこをべるずに掴まれ、グリーンはネックハンキングツリーの状態に!

「あぁっ…うぐっ…(な、なんてパワー!)」
強烈な力でグリーンの首を締める。

「まだまだ、これでは済まさん!!」
なんと、べるずの体から、2本の腕が生えてきた!!
「あっっ!!身動きできない・・・あたしの力じゃふりほどけない・・・・」

はえてきた2本の腕が、今度はグリーンの胴体を締め上げる!!

さらに2本の腕が生え、グリーンの両足を捕らえる!

「い・いやーーーーーー!!!」

「トドメだ!」
グリーンのかすかに開いた目から見えたもの…それは…恐ろしい姿に変わり果てたべるず!

「(これがべるずの力・・・・正体な・の・ね・・・・あたしくやしいけどだ・め・か・も・・・・)」

六角状の冠に、阿修羅像のような6本の腕、3面に分かれた顔は、どことなくメトロレンジャーの変身後に似ていた。



「くらえ!」
グリーンの体をフックしたまま、高く飛びあがる!
その衝撃で天井にめり込み、グリーンの体を盾代わりにそのまま地面を真上に掘り進んだ!

「よーし、高度十分!」
「死ねグリーン!ハイパーべるずスペシャル!!」


グリーンをとらえたまま急降下!
6本の腕で完全に動きを封じられたグリーンは、なすすべがなかった…

「(みんなご・め・ん・・・・)」
薄れゆく意識の中、首・腕・足を完全に痛めつけられ、グリーンは倒れた…




明治神宮前から、回送列車に乗せてもらって現場へ急ぐ3人。

「急がないと、しおんの身に何かあっては大変だ!」

回送列車から飛び降りた3人。そこで見たものは…ボロボロに朽ち果てた、変身の解けたしおんの姿だった。
それを抱きかかえる怪人べるずは元の姿に戻っていたのだが、3人は知る由も無い。


「ずいぶん遅かったな、メトロレンジャー!」

「き、貴様ぁ〜!」
RAKの怒りは最高潮に達する!

「とわさんに続いて、しおんちゃんまでも…許せん!!」

「しおんちゃんを傷つけるなんて!……絶対に、許せないんだから!!」

3人が目を真っ赤にし怒りをあらわにする!


「おっと…今日はもう戦わないぞ

「何だと…あっ!!」


べるずの先には大きな異空間へ通じる抜け道が!
「しおんは預かる。返してほしくば、3日後までに新橋に来い!そこで決着をつけよう…」

べるずはしおんを抱きかかえたまま、闇の中へ消えていった!


「くそっ!!待て!!べるず!!!!」
暗闇の静寂に、叫び声だけが虚しく響き渡る…


「またか…またもやヤツらに…!!!」
悔しさのあまり、隼鷹は拳を壁にぶち当てる。

せるなは、辺りに残ったしおんの服の切れ端を拾い上げた。
「……血で染まっちゃってる……こんなに傷つけられちゃって……痛かったよね、しおんちゃん……。」
せるなの目から、大粒の涙がこぼれた。


「絶対……助け出すからね!」


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