メトロ☆レンジャー

第9話 〜3〜
「せるなとカルマ」


:RAK(マルノウチレッド)
:隼鷹(ユウラクイエロー)
:とわいせるな(トーザイブルー)
グレー:名波狩魔
薄グレー:ドンあさみ

(白:ナレーション他)


<前回までのあらすじ>
怪人べるずに3対3の決闘を申し込まれたメトロレンジャー達。
しかし、せるな一人だけが異空間に引きずりこまれてしまった!
その先で待っていたのは…かつてのぱるメロ製作仲間・名波狩魔だったのだ!

攻撃の応酬で、狩魔に攻撃を与えたせるなが見たものは…?

「あっ??」
狩魔の服の一部が破れ、そこから見えたのは素肌ではなく、機械の腕!

「このー!何かヘンだと思っていたけど…あなた狩魔さんのニセモノね!!」

「ふふふ…。それは間違ってますね。」

「えっ?!」

「今のこの体は…半分だけが私のもの。残りは人であらざるもの。」

「何ですって?!」

「せっかくですから、お話して差し上げましょう…。」

「…」



狩魔は語り始めた。

「私も…もともとはあなた達と同じ、ごく普通の人間でした。

「それゆえに、人同士のしがらみや確執もありました。
ある時私は、信じていた人にとんでもない裏切り方をされました。
その方は、私や他の人の忠告も聞かず、自分に好意を示す者だけを相手にしていました…。」


「ある時私は話す機会を設けました。しかし会話はかみ合うことはありませんでした。
自分の性格を棚上げして私を責め立てるので、私はその言葉をそのまま返し、帰路に着きました。」


「…」

「私は…その日…札幌のある駅で…その方にホームから突き落とされました。
 そして丁度ホームに入ってきた宮の沢行きの電車にはねられたのです。


「ええっ?!」

「死線をさまよう私に、救いの手を差し伸べてくれたのが…首領…あさみ様、なのです…」

「…ドンあさみが…あなたを?!」







あの時私は、生死の境をさまよい、意識もありませんでした…
体も手や足を失い、もはや医師もさじを投げた状態だったと聞きました…

そこへ、脳に直接語りかけてきた方がいます…。

「…名波狩魔よ…」

「…だ、誰ですか?!」

信じる価値もない者を、うやむやに慕ったり付き合ったりするから、このような目に遭うのだ…

「あたしの名は…まぁ…“あさみ”とでも呼んでくれ。呼べるかどうかは別だがな…」

「このままでは、間違いなくお前は死ぬ。」

「い…嫌です!このまま死ぬなんて…!」

「憎いか」

「おまえを突き落とした女が、憎いか」

「復讐したいとは、思わぬか?」

「…できることならば、仕返しをしたいです!彼女がこのままのうのうと生きていくのが、許せません!」

「うむ、だが今のお前はわからんだろうが、手足が切断されて使い物にならん。」

「仮に生き延びたとしても、身障者としての生活が待っている。
その間に相手が逃げ出すかもしれぬぞ。」


「い、一体どうすれば…」

「では、お前の体にこれを埋め込もう」

「?」

「それはゴムシードといってな、やがてお前の体から必要な養分を吸収する。
そして育つ環境が札幌であるゆえ、成長も早い。お前の失った体の部分を補ってくれるだろう。」


「よいか、名波狩魔、これは貸しだ。
今後あたしに何かあったとき、おまえは身を粉にして働くのだ!


「は、はい!」

「では、この辛気臭い病院から、あたしの隠れ家へとおまえを移動させようか…」







「そして今回、首領あさみ様に呼ばれ、恩に報いるためにこの場所へやってきたわけです。

「なんと…それで、あなたはその突き落としたという人に復讐を?!」

「はい。無事に復讐を果たすことが出来ました。
私と同じ痛みを味わって貰えるように先ずは両足を引き裂き、次に右の腕を千切らせて頂きました。
残された左腕を掴んで丁寧に路線に叩き込んで差し上げました。
お顔が潰される刹那、私の正体に気が付いたようですが…手遅れでした。
彼女にはもう跪く為の足も、懺悔するための腕もすでに無かったのですからね。」


「まぁ…私を突き落とした彼女も悪いことをしたとは思っていなかったようですし…自業自得でしょうね。」

「実際、私が死んだと報じられてから、散々私の悪口を言って回っていたようですしね。
まったく、鬱病を装って心神喪失で無罪とは、人の反感を買うのが好きな方のようで。


壮絶な狩魔の過去を聞いたせるな…。
何とも言えず、やるせなさだけが体を支配した。


「おや、そのような顔をなされて…同情などはしなくて構いませんよ。」

「さて…そろそろ宜しいですか、とわいせるなさん?
あなたはとても強い心を持った方です。私としてもあの方のようにぐちゃぐちゃにしてしまうのは心苦しいです。
ですから、痛みを感じませんよう美しき姿を残したまま殺してさしあげましょう。」


「(…だめだ…もうこれでは説得もできないわ…完全にドンあさみに魂を売っている…)」

「心配いりません…すぐ楽になれますよ。」
その美を永遠(とわ)に、残すことが出来ますよ…」


狩魔の着ていた黒い服が、徐々に破れていく…。

「こ、これが…今の狩魔さんの…正体!!」


せるなの目の前に飛び込んだ狩魔の姿は、サイボーグのようないでたちだった。
体の随所に埋め込まれた機械と、手首にはめられたゴムタイヤのブレスレット。
そして、美しくも黒光りする機械部分。
体の部分には24と隅に書かれた見慣れた、電車の前面をかたどっている。



「まるで…ゆりかもめの車両のようだわ!」

「そう…あさみ様が特別に私に授けてくださった能力…」

「それが、この今の私…ユリ・カルマなのです。」

「(な…なんかアレだ…)」

そして、カルマが手にした武器は、大きなハンマーだった!
「これは、べるずさんから譲っていただいた、アンバーの鎚です。」

「そして…」
取り出したマスクで顔を覆った。怪人べるずのような怪しさがないのが不思議な気がした。
直線的なフォルムに、額の部分には北海道をかたどったマーク。

「直線的なフォルム…」

「私も、ゴムタイヤ同盟のはしくれですので…ね。」

「写真で見たことがあるわ…確か…6000系とか…」

「さよう。鉄道ローレル賞を受賞したという美しき車体をマスク化したものです。」

「さぁ…行きますよ…!」


「こ、来いっ!」

身構えるせるなに対し、カルマはハンマーを振りかざして襲いかかった!

「アースクェイク・ハンマー!」

振りかざしたハンマーは勢いよくせるなめがけて振り下ろされたが、寸出でかわした。
だが、ハンマーはそのまま地面を直撃!同時に周囲の床が大きく揺れた!

「うわっ!」

直下型地震のような衝撃で、せるなは一瞬身動きが取れなくなった!
そこへカルマの連携攻撃が!

「モーター・キル・サイクリング!」

「!!」

せるなの首元めがけて、刃をまとったガイドタイヤが突進してきた!
だが、メトロ快速の効果で一瞬早く動けたせるなは、寸前で直撃を免れた。

「危ない…あれを食らったら、テッポウダマ(6話参照)のようになっていたわ!
…殺す気、満々ですね!」


「心配いりません。刃で首を狙いますゆえ、痛みも感じずに一瞬で死ぬことが出来ます。
バラバラになった首と胴はあとで縫い合わせて、剥製にさせていただきます」


悠然とせるなは狩魔に攻撃を仕掛けた!
もう迷いはない。
目の前にいるのは、かつてのぱるメロ製作仲間・名波狩魔ではない。
敵として立ちふさがる、ゴムタイヤ同盟の手先「ユリ・カルマ」なのだと自らに言い聞かせた。

「メトロ・快速!」

スピードアップして突進し、輝くロッドを振りかざした!

「ふっ…甘いですね!」

ハンマーの持ち手で攻撃を防ごうとするカルマ。だが…

「甘いのは、あなたよ!」

「な…??!」

なんと、せるなの背後からもうひとりのせるなが!

「快速通過待ち!たぁーっ!!」

真横から突如現れたせるなに油断したカルマは、もろにロッドの攻撃を食らった!
そして、目の前にいたせるなは消えた。

「見よう見まねでやってみたけど…うまくいったわ!」

「分身の術…?いや違う…残像か…!」



「こうなれば…もっと本気を出していかないと、ダメのようですね」
両手をかざしたカルマの上には、巨大な雲が!

「こ…これは…!!(確か6話の…!)」

「ヘル・ブリザード!」
猛烈な吹雪がせるなを襲う!

「や、やっぱりぃぃ!」

「あなたの弱点、それは寒さ!凍死も美しく死ぬことが出来ますよ」

「零下旋風!」

カルマはハンマーを高速で垂直回転させ、猛烈な風を発生させた!
風圧が強すぎて立つことすら出来ないせるなに、雪と氷、そして風が襲い掛かる!

「(あぁっ…か…体が…動かない…!)」

「これで…終わりですね…」


せるなの意識が、徐々に遠のいていく…。
やがて、雪で姿が見えなくなり、完全にせるなの体は埋まってしまった…。

その頃…
交代で戦いを挑むRAKと隼鷹の2人は、べるずとシャトールの連係プレイに互角の戦いを繰り広げていた。

「オオミヤ・カーブスルー!」

隼鷹の足を掴んだシャトールが、勢いよく隼鷹を投げ飛ばす!
だが、投げ飛ばした先でRAKが受け止めた!

「大丈夫か隼鷹!」

「えぇ…アイツ…ただのこけおどしかと思ったら、なんの大した実力者ですよ。」

投げ飛ばされた2人めがけて、今度はべるずが攻撃を仕掛ける。
「モーター・キル・サイクリング!」

高速で刃のついたゴムタイヤが突進してくる!
「二手に分かれて、一気に仕掛けるぞ!」
「オッケー!」

突進してくるタイヤに対し、左右に分かれてかわす2人。だが…

「甘いぞ、ただのタイヤだと思うな!」

なんと、タイヤが2つに分裂して、2人めがけて襲い掛かった!
「南北線はダブルタイヤなのだ。覚えておけ!」

意表をつかれ、なんとか交わすも体制を崩してしまった。

そこへ…
今度はシャトールが変形し、べるずの腕に!
小さく分かれる車体を、バネのようにべるずの腕に巻きつかせていた。

「トレイン・バズーカ!」

べるずの手から勢いよくシャトールが突進!狙いは隼鷹!!

「そうはいかんぞ!」
今度はRAKが、アイアンブレードをシャトールの到達地点めがけて飛ばした!
一直線に飛んでくるシャトールに、ブレードが直撃!

「グォォォッ」
ひるんだシャトールに対し、2人が飛びかかった。

「くらえ!」
RAKは、はじき返ったブレードを拾い上げ、そのまま連結面を狙って斬りつけた!
そして隼鷹が追い討ちをかけるように回し蹴り!

「グォォォォォッ」
大きなダメージを受けたシャトールが、後方へ下がった。

「よし、これで向こうもべるずが出てくるぞ!
さっきまでは直接は出て来てないからな!」


「いや・・・あれを見ろ!」

「…?!」


見ると、怪人2人は交代しようとしない!
「ジュンヨウハ、ワタシガタオシマス」

「よかろう、私の狙いはRAKだ!ここはオマエに任せた。」



「どうやら…向こうは的を絞ってきたようだぞ…」

「そのようっすね…」
「じゃあ、シャトールはオレに任せて、リーダーはべるずを倒すことにまい進してください!」


「…よし!わかった!頼むぞ!(頼もしくなったな…)」


隼鷹を送り出したRAKは、胸騒ぎがした。
「(そういえば、大丈夫だろうか…せるなのやつ…)」

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