メトロ☆レンジャー

第12話 その1
「ドンあさみ登場 & ある2人の再会」


:RAK(マルノウチレッド)
:隼鷹(ユウラクイエロー)
:とわいせるな(トーザイブルー)
:しおん(チヨダグリーン)

薄グレー:ドン・あさみ

:NAL
グレー怪人べるず

(白:ナレーション他)


<前回までのあらすじ>
長い階段を地底深くまで進み、広い場所にたどり着いた。
一行は遂に、最後の敵「ドン・あさみ」の襲来を予感していた…

暗闇の中から、あたりにはかがり火がいくつも現れた!
その明りで、今いる場所の姿が見えた。



まるでどこかの神殿のように円柱がいくつも立ち並んでいる。
その一部は壊れているようにも見えた。
床は正方形の大理石のようなタイルが等間隔で敷き詰められている。
これが、決戦の場なのだろうか。



「まるで、闘技場のよう…」



そしてメトロレンジャーの目の前に現れたのは、あの忌まわしき六角の魔法陣!
轟音とともに、あの独特なスズメ音が混ざる。



「ついに、ラスボスのおでましか!」



魔法陣の奥から、黒い霧が中央に竜巻状に集まって行く。
その中から、錫杖を手にしたドン・あさみがついに現れた!


その邪悪さとは裏腹な美しい容姿
異様なほど鋭く吊り上がった赤色に輝く目
漆黒のコートに撃ち抜かれた3色の文字


全身からは、背筋の凍るような殺気を放っている。



「…よくぞここまで来た!メトロレンジャーよ だが、すぐ楽にしてやる」



ドンはじっと睨み続けながら、低い静かな声で言った。
そして間髪入れず、錫杖をかざして頭上で一回転させると、突如現れた巨大な炎が轟音を立てていくつも襲い掛かってきた!



「ナンバー・ファイアボール!」

「危ない!かわせ!」


RAKたちが驚いて身をかわし、せるなとしおんが素早くドン寄りの円柱の陰に隠れた。
ロッドと時刻表から、2人が攻撃呪文を放つ。
同時にRAKが斬りかかり、バックアップする隼鷹も続く。


快速真空の渦と、長時間の鋭い電撃攻撃がドンに襲いかかる。


だが、ドンは拳を握って振り払い、攻撃呪文をかき消した。
その拳で、目の前まで接近したRAKにカウンター攻撃を仕掛ける。


「くたばれ!」

「くたばるのは、お前の方だ!」


斬りかかると見せかけて、背後にいた隼鷹がRAKを飛び越えて襲い掛かる。


「ふふ…いくら小細工を弄しても、この私は倒せぬ!」


隼鷹のとび蹴りがドンの胸元に命中するも、はじき返された!


「うわっ…足が…!」

足を持ってもがく隼鷹を、ドンが嘲笑う。

「女の弱点を狙ったつもりだろうが、あいにくだったな」

「くそっ、ゴムマリどころか砲丸みたいな堅さだ」


だが、ひるまずに今度はRAKが斬りかかる。


「甘い!」


ドンは一瞬姿を消して、数歩後ろに下がって攻撃をかわし、錫杖から雷を放つ!
RAKは床を回転しながら上手に電撃攻撃をかわし、立ち上がってすかさず斬りかかる。
今度は錫杖でガードされ、RAKは後方にはじかれた。


だが次の瞬間、今度は円柱の影から急接近していたしおんが同時にドンに攻めよる!

せるなのロッドからは、しおんを助ける補助呪文が放たれる。


「メトロ・快速エナジー!」


しおんの移動速度が倍になり、ドンと拳の打ち合いに持ち込んだ。
錫杖でガードするドンに、攻撃する暇を与えない。


「近距離戦なら、錫杖は動きにくいはず!考えたな!しおんちゃん」

「…それは、どうかな??」

隼鷹の声に反応する余裕すら見せるドン。しおんの攻撃はなおも続く。


「あいつ…攻撃は受けてはいるが、全部ガードしている…」

「(…コイツ…全然疲れてないの…?!)」

一瞬の隙をついてドンが反撃に出た!


「六角貫通拳!」


カウンター攻撃をまともにくらい、しおんが弾き飛ばされた!



「うわーっ!!」

「危ない!」

すぐさま隼鷹が、弾き飛ばされたしおんをキャッチする。

「ありがとう、隼鷹さん」
「それよりも、まるで要塞のような女だな…!」

「ふふ…どうした…それで終わりか?」



「来ないのなら、こっちからいこうか」



ドンは今度は錫杖を振り回して、3人に急接近する!

錫杖をスイングするだけで突風のような風が襲い掛かる。
その風は遠くにいるせるなにまで届き、飛ばされないように必死に円柱にしがみつく。

動きが取りにくい3人はよけるのが精いっぱいだった。


「強風にも弱い、首都圏鉄道の脆さを露呈したのぅ」

「じゃあ、これに余興を加えてみようか!」


ドンは錫杖の先から、先ほどの巨大な炎を作り上げ、風に乗せた!
黒煙と巨大な炎、熱風が辺りを包み込む。



「うわぁーっ!!」

「あ、あちちちちちち!!!」

火災蒸し焼き地獄!消しズミになるがいい!!」




闘技場が、巨大な炎に包まれる!!






時を同じくして、新橋駅ホームには病院を抜け出したNALと、その付添の3人(NOiA、フィオ、HIEN)がいた。タクシーの中でNOiAに上着を借りたため、駅に着いた時には入院着が隠れ、さほど目立っていなかった。

「ここから先は、君たちは危険だ。私一人で行く」

N「そんな!そのお体で行くのは危険すぎますよ!」

「大丈夫だ…この先は、一般人の入れない区域だからね。
 私とて一線から身を引いたが鉄道戦士。心配はいらないよ」


フ「わかりました…ここで待ってます!」
H「お気をつけて…!!」

NALはヘルメットをかぶり、大怪我をしているとは思えない動きで線路下へ進んでいった。
やがてたどりついた旧・新橋駅ホーム。

「ここだ、ここがおそらく、奴らのアジトの入り口なのだろう…むっ…巨大な穴が!」

NALの目の前には大きな六角の穴が開いていた。しかし、邪悪な気配がしていない。

「これだと思うのだが、ダミーなのだろうか…でも、ここしかなさそうだ」

とりあえずNALは進んでみることにした。相変わらず体の節々が痛むが、そんなことも言っていられない状況が痛みを我慢させる。進んでいくと、やがて大きな広間に出た。辺りには機械の残骸とゴムの焼けた匂いが漂い、戦いの激しさを物語る。

「これは…!手下と対戦したのだろうか。彼らは無事だろうか…」

辺りを歩くNALの前に…ひとりの男が佇んでいた。

「その茶色い服…まさか…」

「…その声…NALか…キミなら、ここまで来られると思っていたよ…」

それは、既にマスクのない怪人べるずだった。
しかし、既に邪悪な気配もなく、あの忌まわしいマスクも存在しない。素顔だ。
その素顔を見たNALの反応は…

「まさか…こんなところで、しかも敵同士として、再会するとは思わなかったぞ…」

「私もだよ…NAL君」
「ともに訓練センターで過ごして、一人前の鉄道戦士として卒業し、それぞれが地元に戻ったのが最後だったかな…べるず君」
「そうだな…キミは横浜で活躍し、功績が認められて出世も出来たな…」

「キミは…いい部下に恵まれたな…強くなったな…」
「そうか、戦ったんだな」
「ああ、完敗だったよ…かえって、清々しい」

「こうしてはいられん、彼らを探さねば」
「RAK達のことか それなら、道案内をしよう」
「…いいのか?!」
「構わない、だが頼みがある。私も…連れて行ってくれ」
「どこへ?」
「お前の部下たちが、今おそらくドンと戦っている。」
「なんだと!」
「だがあのままでは、おそらく彼らがドンに勝つのは無理だ。」
「!」
「バックボーンとしてお前がいてあげなければ…それに…」

「うっ…」
べるずが口を開こうとした瞬間、我慢していた痛みが突然襲い掛かってきた。

「どうかしたのか…む、その症状…さてはドンにやられたのか」
「まぁ、そうだね…」
「そうか、…わかった」

べるずが起きてふらふらと歩きだすと、機械の残骸をかきわけた。
それはちょうど、シャトールの胴体部分だった。
その中から、何かを取り出したように見えた。

「よかった…割れていなかった…」

差し出したのは、メトロレンジャー達に渡したものと同じドリンク剤だった。

「信用できないのなら、私が毒味をしよう」
キャップに注いで、飲んだ。

「どうだい」
「ん…大丈夫のようだな…」

半ば半信半疑だったがNALはそのドリンク剤を口にした。

「なんだ…?体から痛みが消えていく…」
「よかった」

べるずはドリンク剤の効果を説明した。

「そんなものを残しておくとは…キミは、もしや…」
「深くは聞くな…さぁ…行こう…」

2人は歩きだした。深淵の闇の中へ…

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