メトロ☆レンジャー

第9話 〜5〜
「オレンジの助っ人」


:RAK(マルノウチレッド)
:隼鷹(ユウラクイエロー)
:とわいせるな(トーザイブルー)
グレー:怪人べるず、ユリ・カルマ等

:NAL司令
オレンジ:???

(白:ナレーション他)


<前回までのあらすじ>
しおんを救うため、必死に戦うレンジャー隊員達!
難敵シャトールを隼鷹が撃破!

そして、異次元ではユリ・カルマに屈したと思われたせるなが復活…だが、その正体は…

姿を現したのは、せるなではなかった!

「そのマスク、どこかで見たことが…これは…」
(カルマ、手持ちの「THE 地下鉄」で検索中)

「…東葉高速鉄道の1000系!」

「ということは、…せるなさんではない、別人!どうやって入れ替わった!!何者!」









































「…私の名は…星海まりむ!」



「!」

「そんなバカな!“啓さんファイター”で死んだはず!」

「対外的にはね…魂だけは生きていたのよ」

「くっ」

「そして、せるなの中に潜んでいたってわけ。
 本当のピンチの時にだけ、出ることを許されているのよ。」


「…??」

「NALさんに、ね。」

「!」




メトロレンジャーの結成数日後。夜の司令の執務室にて…
ドアのノックをする音が聞こえた。

「ん、誰だ。入りなさい。」

「NALさんだね?」
NALの目の前には、髪の長いロングスカートの女性が立っていた。

「いかにも。…? あなたは…?」

NALが見上げた視線の先には、せるなに渡した三角吊革ロッド!

「…そのロッドは!ま、まさかせるなの身に何かが?」

「違うよ。あの子には何も起きてないわよ。」

「なぜなら、ここにいるのがあの子なんだから。」

「…?!」

髪をかきあげて、彼女が口を開いた。
「あー、やべ、名前名乗るの忘れてたわ。あたしは星海まりむ。取り敢えず宜しくネ。」

「まりむ…確か…せるなの過去の…」

「あの日以来、こうしてせるなの体が眠っている時にしか表に出られないのよね。
 光の閉ざされた闇か、夜中でなければこうして動くことも出来ないわ。」


「あたしがここに来た用件、なんとなくわかってたはずよね?」

「…せるなのことか…」

「そぉ。あのままじゃ、ちょっと危ないかもね。
 あの子弱いから。例えば一人きりになった時とか…」


「それは私も、考えていた」

「そこでさぁ、保険つけない?」

「保険?」

「あたしが、せるながピィーンチ!の時に出てくるの。カッコよくない?」

「…(汗」

「あぁ、引かない引かない!」

「いや…君の戦闘能力が高いのは知っているが…」

「だからといって、簡単にはいそうですかと言える訳では…」

「あぁ、これいいじゃん!」
まりむが指を差したのは、先代の5000系マスクを身につけたトーザイブルーの写真だった。

「それは、先代のマスク。簡単に譲るわけにはいかん!」

「あ、じゃ採用はOKなんだね。」

「うっ」
まりむのペースに、すっかりNALも引き込まれていた。
帰れといえないのを見透かされていた気がしたのだった。

「…まりむよ、キミがどうしてもせるなの助けをしたいのなら、こっちを使え」

NALが取り出したマスクは、5000系によく似た、オレンジのラインが入ったマスクだった。
「あ、これもいいじゃん。おまけに私の好きな色だし!」

「それは、東葉1000系のマスク。5000系を改造したもの。」

「へぇー、何で使わなかったの?」

「JR用の無線が撤去されたあおりで、JR線路まで行くことが出来なかったからだ。」

「あー、そう。じゃ、欠陥品って訳。」

「なんだと!口を慎め!」

「にゃははは、冗談冗談。いいじゃんこれ。せるながピンチのときにすぐ行けるんでしょ?」

「同じ無線やATSを使っているから、互換性はある」

「よーし、じゃコレもらっていくわ」

「そんな、あっさり!(汗」

「ふふ、大丈夫よ。せるなが本当にピンチの時にしか出ないから」

「当然だ!」

「おぉ、怖い怖い。司令ちゃん、じゃ、またね〜。」


まりむが嵐のように去り、ひとり呆然と立ち尽くしたNAL。

「本当に、大丈夫なのだろうか…だが、今は別人格だろうと何であろうと構わない…」




まりむの意識の奥には、逆に封じられたせるなの人格が存在していた…

「(ちょっと!まりむ!勝手に出てきて、どういうことよ!)」
「(せるな…今度ばかりはあなたの手には負えない相手…ここは私に任せなさい!)」
「(じゃあ、何で6話では出てこなかったのよ!)」
「(それは、あなたが本当の危機に陥ってないと判断したから。)」
「(現に、仲間が助けに来たじゃない。でも今のあなたは、孤立無援の状態よ。)」
「(う…た、確かに…)」
「(大丈夫よ…必ず勝つからね)」




「…というわけね。」

「どうりで、過去を知っていたわけだ…」

「まぁ、お互い過去同士いいじゃないの、レイカさん。」

「…その名前で呼ぶな!!」
動揺を隠せないユリ・カルマ。

「あーら、冷静なカルマさんが取り乱しちゃったわ〜」

「まぁ、いいわ。」




まりむは、ロッドを変形させた槍を振りかざした!
「こうして登場したからには、全力でおまえを倒すのみ!いくぞ!」

疲れていないまりむは、猛然とカルマに襲い掛かった!
多数のフェイントと高速移動に翻弄され、ユリ・カルマが劣勢になってきた。

「甘い甘い!日大ラッシュ突き!」
2度、3度のフェイントを加え、瞬く間に移動して攻撃を加えるまりむ!
防戦一方のユリ・カルマ。

「(くっ…この私が…押されている…!初めて恐怖を感じる…怖い!!)」

「アイス・ガード!」
ユリ・カルマは目の前に氷の壁を作ったが、まりむはひるまない。

「ライジング・サン!」
今度は槍の先に炎を発生させ、氷の壁を突き崩し、そしてそのまま突撃する!

「東葉快速斬!」
高速でユリ・カルマに突っ込むまりむ。だが、ユリ・カルマが消えた!




「あっ?!」


「ふふふ…ここですよ!もう、お遊びはオシマイですわ!」


頭上から声が聞こえた。
そちらを振り返ったまりむの視界には、ハンマーを振りかざし、高速で突っ込んでくるユリ・カルマが!
不意をつかれ、まりむの肩をハンマーがかすってしまった。その場にしゃがみこむまりむ。

「い、一体?…あぁっ!」

見ると、ユリ・カルマの背中には、茶色の羽が!
「…やはり、空を飛べたか!」

「ジェード・ウィング。隠し技は後から出すものですよ。」

「ふっ、こしゃくな!かかってこい!」




槍を構え、撃墜体制に入るまりむ。

「ふふ…その程度では、私を捉えることはできませんよ!」

高速で急降下するユリ・カルマの直線位置で構えるまりむ。
だが、次の瞬間軌道が変わった!


「はっ?!」


「お台場ループリング!」
まりむの体を高速で回り始めた!そしてウィズユーカードシャワーを浴びせる!
まりむは避けきれずに全身にカードが突き刺さった!

着地したユリ・カルマの前で、傷だらけでうずくまるまりむ。

「うぅ…」

「さぁ、とどめをさして差し上げましょう…」


再び飛び上がるユリ・カルマ。
ほぼ勝利を確信したユリ・カルマの口元に笑みがこぼれる。




「せ、せるなのためにも…負けられない…」
傷だらけでも立ち上がるまりむ。足元がフラフラだった…。




シャトールを倒してから、どれだけの時間が過ぎただろう…。


せるなの身を案じる隼鷹には、不安の色が隠せなかった。

RAKは、最後に残ったべるずとすでに戦っていたが…
べるずは一向に攻撃をしてこようとせず、RAKの攻撃をかわし続けるだけだった。

「くそっ、ふざけたマネを!」

「ふふっ、今の私には攻撃する気などない。」

「何?!」

「私もまた、せるなが戻るかどうかを楽しみにしているのでな…」


「ちょうど時間はあれから17分が経過している。
 あと3分で戻れるかどうか、楽しみではないか。」


「何を!戻ってくるのは…!」












































「…私ですけど?」

RAKの視線の先にいたのは…せるなではなかった!
東西線6000系マスクを身につけたゴムタイヤの戦士!

「お、オマエは一体何者だ!ま、まさかせるなは…!」

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